■近視の矯正(一般成人)

行き過ぎた度数「過矯正 かきょうせい」に注意しましょう。

 

完全矯正

度数を上げていくと同時に視力も上がっていきます。視力が最も良く出た時の度数が、眼の完全矯正値です。完全矯正値よりも更に度数を上げていくと今度は視力は下がってしまいます。度が強過ぎるために見えなくなってしまうのです。度を上げれば上げるだけ良く見えるというわけではありません。
DSC_0040
眼に存在する度数に対してちょうど良く矯正されると、赤緑共に同じ明るさとなり、まだ弱い矯正の場合は、赤色が鮮明になり緑色が暗くなります。
反対に、眼に存在する度数に対して行き過ぎた度数、つまり強すぎていると赤色が暗くなり、緑色が鮮明になります。赤色がはっきりしている時は、まだ眼に対して強過ぎていませんという合図、逆に緑色がはっきりしてきたら眼に対して度数が強過ぎていますという合図です。眼鏡、コンタクトレンズ共に「緑色」が鮮明にならない度数を使う事が基本です。

眼鏡とコンタクトを併用

眼鏡だけを使っている人は、強過ぎる眼鏡にならないよう、気をつけながら何時も若干弱めに作っていますが、ある程度に近視が強くなってくると、主にコンタクトレンズを使うので、ほとんど眼鏡は使わないという人もいます。こういった場合に多い例として、

●「持っていてもほとんど使わない眼鏡なので、過去に作った
    度数のまま持っている。」

眼病等でコンタクトレンズを一時的に中止することもありますので、コンタクトとの度数バランスを考えた眼鏡を持っておく必要があります。

●「眼鏡を掛けると具合が良くないので使わない。」
度が強い眼鏡を持っている可能性が高いです。室内用として度数を下げると違和感も和らぎます。

 
眼鏡と違ってコンタクトレンズは、知らず知らず度数が強過ぎてしまっている事に感じにくい面があります。目安として40歳、「10年前の度数を今も使っている。」「良く見えているから、特別気にしていない。」「特に違和感が何もないので眼科へ行かない。」注意が必要です。


視力と度数のグラフ例
DSC_0040 この人の眼は、矯正視力1.2  sph-6.00Dが完全矯正値となります。
同じく矯正視力1.2  sph-6.50Dは、強すぎる度数となります。
眼鏡とコンタクトレンズ
DSC_0040 この人の眼は、眼鏡、コンタクトレンズ共に、新しく作るにしても度数を上げるにしても、オレンジで示した範囲内の度数で定めなくてはなりません。視力が、オレンジと青の1.2の場合は必ず弱い方(赤色が鮮明)の度数を選択することです。



 
 

60代女性の過矯正眼鏡を調整しました。

 

今までの眼鏡
DSC_0040 右眼は過矯正ではありませんが、左眼に問題がありました。強過ぎる矯正になっていて、視力の差も発生しております。私達は検眼中に視力検査を行いながら、色々とお話しを伺います。仕事の業種や労働時間、運転免許の有無、眼病があれば、その状態と眼鏡との関係など、眼科医とも相談しながら最終的に処方する眼鏡の度数を決定していきます。今回は、左眼の過矯正を医師が指摘し、運転免許の所持が無いこと等を踏まえ、新たに度数を変更する事となりました。左図が現在使っている眼鏡の内訳です。
今回作った眼鏡
DSC_0040 まず、右眼においては乱視が進行しており近視の度数を下げても、まずまずの視力が得られること。近視は度数を下げても良好な視力が得られる場合、必ず弱い方の度数を選択する必要があります。左眼の乱視数値は、ほぼ同じ。近視の度数が強過ぎますので下げることになりました。眼というのは、強い度数をかけ続けているとハッキリと見えていた像の憶えがありますので、度数を弱くした直後は御本人も不満を感じることがあります。今回は、右を0.8  左を0.9に抑えても、両眼で1.2の視力が得られたため左図の度数にて処方いたしました。各眼とも乱視はきちんと合わせ、近視を下げてますので全体的にハッキリ見えても、やわらかな見え方となるでしょう。




 
 

視力が良い人、視力が良くない人の老眼

「近視は老眼にならない?」稀にこのように解釈しているお話を伺いますが、一定の年齢に達すれば皆、眼の老化が始まります。眼の老化とは、小さな文字等を眼に近づけて読める距離が遠のいてしまう、つまり、眼の中のピント合わせ能力の低下です。子供は、目の前でも小さな文字が読めますが、大人はそうはいきません。大人は45歳の近点33cmを基準とし、33cmのところで小さな文字が読めるか否か、また度数が必要か否かを判定します。この33cmというのは眼科の近見視力検査距離です。

「近視は老眼にならない」ではなく、老眼になっていても近視があるので裸眼のピントが元々近距離に合っているから眼鏡をはずせば済むのであります。老眼になっていない頃は眼鏡を掛けたままで本を読めたはずです。眼鏡をはずさないと近くが見やすくならないということが老眼になっているということです。
 

DSC_0040 「眼が良い人」一般的に遠くがよく見え、遠用眼鏡を必要としない人。45歳を過ぎると小さな文字が読める近点が遠のきます。つまり、33cmより離さないと文字が読みづらいという状態になります。微量の近視などの屈折異常がある場合は異なりますが、遠くが良く見える視力の良い人は、屈折異常なしの正視眼(±0.00)なので、45歳~必要な加入度数+1.50Dのレンズを用いないと、再び33cmにピントを合わせる事ができないということです。
遠用度数と、加入度数との足し算により老眼の度数が決定されます。遠用に度数を必要としない±0.00の眼は、そのまま加入度数と同じ眼鏡でよいですが、遠視(凸レンズ)の遠用眼鏡をかけているならば、遠視と加入度を合算したものがその人の老眼鏡となります。ある程度強い乱視がある場合も、乱視を入れた老眼鏡が必要です。


年齢別の調節力と近点
年齢 調節力 近点
10歳 14D 7cm
20歳 10D 10cm
30歳 7D 14cm
35歳 5D 20cm
40歳 4D 25cm
45歳 3D 33cm
50歳 2.5D 40cm
55歳 1.5D 57cm
60歳 1.0D 100cm
65歳 0.75D 133cm
70歳 0.5D 200cm
年齢別加入度 -個人差あり-
40歳~45歳 +1.00~+1.50
45歳~50歳 +1.50~+2.00
50歳~55歳 +2.00~+2.50
55歳~60歳 +2.50~+3.00
60歳以上 +3.00~


<例>50歳 遠見矯正視力
R)裸眼視力1.5
L)裸眼視力1.5

R)矯正する度数なし

L)矯正する度数なし

遠用眼鏡の必要なし
<例>50歳 近見矯正視力
R)裸眼視力0.3
L)裸眼視力0.3

R)sph+1.75D 矯正視力1.0

L)sph+1.75D 矯正視力1.0

+1.50D~+1.75Dの近用が必要



 
 

DSC_0040 近視があり裸眼視力が良くない。大きく分けて、運転免許がぎりぎり受かる位の弱い近視と、常に眼鏡をかけている強い近視。両者共に一定の年齢に達すれば老眼になります。以前は遠用眼鏡をかけたまま小さな文字も手元で読めたが、少し離した方がピントが合うようになってきます。弱い近視の人は眼鏡を外した方が楽に読めるようになるのが特徴、強い近視の人は眼鏡を外してしまうと対象物とのピントが合う距離が近すぎてしまい、「眼鏡をかけたままでは見にくい、外したら近すぎてしまう・・」という問題が出てきます。両者どちらも、遠くが良く見えるレンズのままで、近くにもピントを合わせる能力が眼の中で充分に働かなくなっているのです。
また、弱くもない強くもない中等度の近視がある人は、眼鏡を外すと丁度30cm位で本が読める人で、よく頭の上に眼鏡を乗せて本を読んでいますよね。
近視の眼は、裸眼の焦点が「近い(視力0.04以下)・中位(視力0.04~0.1)・遠い(視力0.1~0.6)」この違いにより必要となる度数(眼鏡)が異なります。裸眼の焦点がけっこう遠くまである人は弱度近視、中位は中等度近視、近いと強度近視です。眼鏡を外せば丁度30cm位で本が読める人(中等度近視)は、ずっと老眼は不要の場合が多く、弱度と強度においては近くを見るための眼鏡が必要になってきます。これは、裸眼の焦点が丁度良く手元に合っていないためです。


※御自身の眼が持つ度数と、裸眼の焦点距離の目安です。乱視がある場合は誤差がでます。近視が弱い人は老眼になると裸眼のピントが合う距離が遠すぎるために、ピントを近くに合わせる弱い老眼鏡が必要。逆に近視が強い人は、ピントが合う距離が近すぎるため、離して本が読めるようにピントを遠ざける老眼鏡(弱い近視の眼鏡)が必要になります。
度数 -1.00D -1.50D -2.00D -2.50D -3.00D -3.50D -4.00D -4.50D -5.00D -5.50D
焦点距離 100cm 66cm 50cm 40cm 33cm 28cm 25cm 22cm 20cm 18cm
度数 -6.00D -6.50D -7.00D -7.50D -8.00D -8.50D -9.00D -9.50D -10.00D
焦点距離 16cm 15cm 14cm 13cm 12cm 11cm 11cm 10cm 10cm




 
 

近視のお客様達の近用眼鏡

 

<例>50代前半の男性
R)sph-6.00D cyl-1.25D Ax180°
L)sph-5.00D cyl-1.25D Ax170°
両眼で1.2の遠用眼鏡は、視力をきちんと出したものを使っています。
年齢は50代前半なので、この遠用眼鏡で手元は見づらいです。では裸眼ではどうでしょうか?近視が強く左右差が少々あり、乱視もあります。裸眼の焦点距離はおよそ16~18cm、小さな文字をこの距離内で見るぶんには裸眼でよいですが、その先の30cm、40cm、50cmの距離は、ぼやけてしまいます。そのぼやけてしまう距離を見えるようにするために老眼鏡が必要なのです。
R)sph-4.50D cyl-1.25D Ax180°
L)sph-3.50D cyl-1.25D Ax170°
遠用の近視に+1.50D加入して乱視も加えたものが、この人の老眼鏡です。※50代前半にしては、加入度が弱いのでは?と思いますが、近視がある程度強い場合、比較的弱い加入度で済むことが多いです。
<例>40代前半の女性
R)sph-6.75D
L)sph-7.50D

両眼で1.0の遠用眼鏡を職場、宅内共に終日かけています。「眼が疲れる」との御自身の訴えもあり、宅内で主に使う弱めの眼鏡を眼科にて処方いたしました。屋外と屋内では生活する距離も違うため眼精疲労の予防にもなります。

完全矯正値は、R)sph-7.50D L)sph-8.25Dで、強度近視の分類に入ります。強い眼鏡1本で生活していると、やはり近見視が困難になり、「眼が疲れる」との訴えも出てくるようです。眼鏡を外した時、裸眼の焦点距離は12~13cmなので、近くが見える距離も近すぎて、小さな文字を読む時は顔に近づけないと読めません。
R)sph-5.75D
L)sph-6.50D
老眼初期の年齢でもあり、遠用度数に+1.00D加入して、眼を酷使しないように両眼0.6の視力に抑えた眼鏡を作りました。0.6あれば、宅内はもちろん手元の小さな文字も顔に近づけないで読むことができます。これがこの人にとっての近用眼鏡なのです。


DSC_0040 まだ老眼の年齢に差し掛からない人でも、強い度数で近くを見続けていると眼はとても疲れます。ピント調節筋をずっと働かせているためです。仕事でパソコンを主に使う場合、若い人でもそれ相応に対処することが必要です。近くを見やすくした度数で近くを見た方が調節筋を働かせないで済むからです。
<例>30代男性
R)sph-6.50D cyl-2.00D Ax180°
L)sph-6.50D cyl-2.50D Ax180°
これは運転も出来る視力の常用眼鏡です。
老眼ではありませんが、なるべく調節筋を使わないように
R)sph-5.50D cyl-2.00D Ax180°
L)sph-5.50D cyl-2.50D Ax180°
近視を1.00D弱くした眼鏡を普段の眼鏡とは別に持っています。長時間に及ぶ近業作業に対応した度数です。

 
 

DSC_0040 裸眼視力が、右眼0.7  左眼0.1。どちらか一方の眼がよく見える。または、どちらか一方の眼がよく見えない状態で、左右の度数の差が2.00D以上ある状態を不同視といいますが、完全矯正値が R)sph-0.75D  L)sph-2.25Dで、左右の差が1.50Dあります。不同視の一歩手前ですが各眼が持つ焦点距離が異なります。自宅で勉強している時、ノートや本を見ている時は近視が強い左眼の焦点が合います。一方、教室でボードの字を見る時は近視が軽い右眼の焦点が合いますが、広い教室で後方の席だとしたらどうでしょうか?
こういった場合も眼鏡を使った方が御本人にとっても勉強がスムーズにはかどる事でしょう。ただ、気を付けなくてはならないのが、右眼は遠くが見やすく、それに対し左眼は近くが見やすい眼。眼鏡を作るにあたり、このバランスは崩さない方が使いやすい眼鏡となります。つまり、眼鏡をかけても右眼は遠く、左眼は近くが見やすくなるように作ってあげることです。
<例>20代男性
R)裸眼視力 0.7
L)裸眼視力 0.1

R)sph-0.50D 眼鏡視力1.0
L)sph-1.50D 眼鏡視力0.6

裸眼視力の右眼0.7~左眼0.1は、視力表内での段階差が7段階。眼鏡をかけての視力表内での段階差が4段階。裸眼時の約半分の段階差にしてあります。右眼の焦点は3段階伸び、左眼の焦点は6段階延びますので遠くが見やすくなります。要点は、近視が強い左眼を右眼と同じ視力にしない事で、眼鏡をかけても近くが見やすい状態を維持できるからです。不同視力は、各眼が持つ特性を眼鏡で邪魔しないことが基本です。

 

強度近視の人は、年に1度は 眼底検査を!