■眼鏡レンズは「医療用具」 

レンズは、どんな大きさのフレームにも合う万能品ではない。

こちらのお客様の眼鏡を決める順序は、

1.度数と瞳孔間距離 ⇒ 2.レンズのデータ ⇒ 3.最後にフレーム

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レンズの真ん中(光学中心)と、瞳を合わせる事が眼鏡加工です。レンズというのは、凸レンズでも凹レンズでも度数が強くなるほどレンズ径は小さくなっていきます。つまり選ぶフレームのサイズを度数が強い人ほど考えなくてはいけません。「度が強く、レンズ径が小さい、瞳~瞳の距離(瞳孔間)が狭い、大きいフレームを掛けたい」この条件が一番難しいのです。この業界には、セルフサービス的なお客様任せのshopも存在します。colorや外観も大事ですが、それ以上に眼鏡とは「目」と「レンズ」をつなぐ「フレーム」の選択が全てを左右してしまう事もあります。
左記画像sph-8.00D cyl-4.00Dこの度数について進めていきます。


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度数の製作範囲と、その基準外径です。全ての眼鏡レンズにはこの表があります。検眼を終えて度数が決まると私達は、まずその度数の外径に意識が行きます。瞳孔間距離とレンズ外径で使用できるフレームのサイズが限られてくるからです。特に度が強いお客様ほどレンズが小さくなりますので、これは大切な事です。画像のレンズは近視の度数が-8.00D、乱視の度数が-4.00Dなので、基準外径70(直径7cmのレンズ)です。


 

瞳孔間距離58mm、レンズ外径70mm、この2つのデータからフレームを決定する。

a.このような状態では加工できません。

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少しゆったりした大きさのフレーム
が良いと、大きいサイズを選んだ場
合です。瞳孔間距離が58.0mm
(片眼29.0mm)の印を付けました。
  レンズの中心(光心)と瞳の位置を印
したダミーレンズ(フレームに付属し
ているもの)を重ねます。このフレー
ムでは眼鏡作製が出来ません。

b.なんとか加工できるが、厚くなってしまう・・

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少し小さいフレームに変えて瞳孔間
距離58.0mm(片眼29.0mm)の印を
付けました。
  レンズの中心(光心)と瞳の位置を印
したダミーレンズ(フレームに付属し
ているもの)を重ねます。レンズの縁
いっぱいまで使いますが眼鏡作製が
可能です。レンズの縁いっぱい(一番
厚い部分)まで使うため、出来上がり
も厚くなります。

c.いちばん理想的なフレームサイズは、これ!

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今回、一番適性だと判断し、選んだフ
レームです。上下に大きく、左右を小
さくする事で「見やすさ」と「薄さ」
を得る事ができます。フレームのサイ
ズというのは±2.0mm刻みです。度
が強いレンズの場合、oneサイズ上
か下とでは結果を大きく左右します。
  レンズの少しでも内側でカットすると
出来上がった時の薄さを大きく左右し
ます。フレームの掛け具合は多少窮屈
になりますが、それは調整で直ります
目とレンズのためにフレームのサイズ
選びは慎重に行なわなければいけませ
ん。


a.このような状態では加工できません。(右レンズ)について

これを無視して加工した場合

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優先順位をレンズよりも、フレームに
置いた結果に多い現実です。ゆったり
したフレームの方が、フィッティング
する側からすれば指先の力仕事を軽減
できるので楽なのです。光学中心を外
側にずらし、本来は加工出来ない状態
でありながらも光心 5.0mm ズレで
眼鏡を作ってしまう悪い例です。
このお客様の瞳孔間距離は58.0mmな
のでフレームのセンターから片眼29.0
mmのに瞳と光学中心を合致させま
す。そのように作ろうとすると、レン
ズの生地が足りないので生地が足りる
ところまでずらして、光学中心が実際
よりも5.0mm広い63.0mmので、
レンズをカットしてしまう例です。
DSC_0040 (乱視)のcyl-4.00D = sph-2.00Dと換算されます。(乱視(cyl)半分の数値)
右)sph-8.00D cyl-4.00D = sph-10.00Dとなります。
10.00D × 5mm(0.5cm)のズレ量 =5プリズムが発生
DSC_0040 DSC_0040   凹レンズの中心とは、一番薄くなっている真ん中です。一番薄い部分が外側に移動すると、内側の厚い部分が瞳の前に移動してきます。光は厚い方へ屈折する性質がありますので、Aの物がBの位置にあるように見えてしまうことが起こります。
追記
日本人の瞳孔間距離というのは、海外の人に比べるとかなり狭いです。その狭い瞳孔間距離と、度数が持つレンズの外径の事を考えて眼鏡を作製していくと、必ず小さいサイズのフレームから順に売れて行く(フレームの寸法に拘る)というのが、ごく自然な業務上の流れなのです。また、私共とお会いできないお客様達へは、この事をひとつの眼鏡店選びの基準としてみてはいかがでしょうか。


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